
OEM商品開発時の「試食」の際に気をつけた方が良いポイント
商品開発が始まってから終わるまでの間に「試食」という工程があります。
この「試食」は味を確認する為に行うのですが、
試食の仕方によっては、改良点を正確に工場に伝えることが出来ず、
商品開発が遅れるばかりか最悪の場合には希望の商品が仕上がらないということが起こります。
今回は、試食をする現場で気をつけるべきポイントをお伝えしたいと思います。

①ターゲットの確認 重要度★★★★★
試作をする際の最重要ポイントは、開発しようとしている商品のターゲットの確認です。
当たり前のように思うかもしれませんが、試食の際には、ついつい自分が美味しいかどうかの主観で判断してしまうものです。
「味」というのは極めて主観的なものなので、如何に主観を排除し、ターゲットが美味しいと感じるかどうかを重視すべきです。
代表的な例だと、地域差があります。
関西圏で販売する商品は出汁感を強く出した方が良く、九州は甘めが好まれるなど、地域によって味の好みが変わってくるなどは好例でしょう。
また、高齢者向けの惣菜であれば、塩分は多少控え目にし、食感は多少軟くし、野菜などのカットはあまり大きくしない方が良いなどターゲットによって味だけでなく、食感や食材のカットの大きさなども変わってきます。
試食会を開く場合は、参加している全員で事前にターゲットを共有することをお勧めします。
②メンバーの数 重要度★★★
試食会に参加する人数も開発をスムーズに進めるためには大切です。
私たちの開発する商品で、お客様が10人以上で試食を行うケースがありますが
多くの場合、参加者が色々な意見を言い過ぎて修正ポイントがあやふやになってしまい、
結局どこをどのように修正すれば良いのか分からないまま、再提出された商品もピントがぼやけてしまうという事が起こってしまいます。
色々な人の意見を取り入れることは大切ではありますが、味はあくまで主観的なもので好みがあるのであまり多くの人数で試食することを弊社ではおすすめしていません。
①のターゲットをしっかり理解したメンバーが3〜4人くらいで試食を行い、
修正ポイントをまとめた上で工場に再試作を依頼する方がスピードもクオリティも上がると経験上感じています。

③メンバーの属性など 重要度★★★
どのようなメンバーで試食会を行うべきなのか?も人数と同じくらい大切です。
前提として上記のようにターゲットの嗜好を理解している上で決裁権がある人が入ること、
加えて商品ターゲットに性別、年齢などが近いメンバーがいるのがベストです。
フラットな関係で意見を活発に言い合えるメンバーの方が、良い商品が仕上がるケースが多いと感じています。
逆に良くないのは社長や上司など意見が強い人が入ってしまうことで、
メンバーが意見を言えないケースです。
その上司がターゲットと全く違う場合は特に最悪で、設定していたターゲットの嗜好とかけ離れた上司に向けての商品が仕上がってしまいます。
そんなことはないだろうと思うかもしれませんが、
商品開発が失敗する代表的な理由で、非常に頻繁に起こるので気をつけてください。

④試食会の時間 重要度★★
試食はいつ行うのが良いのか?
はっきりといつが最適とは言えないのですが、私たちが試食をする際には、
空腹すぎず、満腹すぎない時間帯に行うようにしています。
空腹時は、最初に食べた時に美味しく感じてしまい、
食後には、あまり美味しく感じないことが多いので15時や16時位がおすすめです。
もし、時間に余裕があれば、2回目などに空腹時に食べてみてどのように感じるかをテストされるのも良いかと思います。
ちなみに、風邪を引いている時には試食は絶対に行わない方が良いです。
風味をほとんど感じないので正確な評価を行うことができません。

⑤試食の順番 重要度★★
複数の商品を試食する場合には、試食する順番も気をつけて頂いた方が良いポイントです。
基本は薄味のものから順番に試食を行ってください。
特に塩分や旨味は一度強いものを食べてしまうと、感度が鈍ってしまうので
薄味のものから順番に食べてもらうと味を正確に評価することが出来ます。
甘いもの、辛いものを同様に、甘くない方、辛くない方から試食を行うことに
注意してください。
出来れば、水を用意して、口の中をリセットしながら試食をすることをおすすめします。
⑥試食の数と量 重要度★★
試食する際には、あまり多くの商品を同時に行わないことも気をつけて頂くポイントです。
また、1食あたりの食べる量もあまり多くを食べず、
味や食感を感じられる程度の量を食べて風味、食感などを判断頂くのが良いと思います。
まとめ
人間はあくまで主観的な生き物で、味は体調や時間などによっても左右される曖昧なものです。
多くの人が集まると意見がまとまらなくなること、意見が強い人がいると黙る人が出てきてしまうことなど
人間の特性を理解した上で試食環境を整備することが大切です。
そして、商品開発は、ターゲットは自分ではないことを理解した上で
商品を食べてもらいたいターゲットから絶対に目を離さずに仕上げて頂くと売れる商品が開発できると思います。