
食品業界のナイショ話 ;「おいしい商品」の秘訣は「食感」⁉
躍進を遂げるコンビニ・スーパーのスイーツ
スイーツを企画していると必ず言われる「おいしい物を作ってくださいね」という言葉。
このように言われた時、皆さんならどうしますか?
こんな時に使える考え方を、ひとつご紹介いたします。
さて、長く私が担当していたコンビニやスーパーのデザートは、ここ数年でかなり「おいしさ」がレベルUPしたと感じています。
材料メーカーや機械メーカーの技術革新、温度管理技術、保存技術の躍進、
そしてマーケティングや企画開発力。本当に日々進化しています。
はい、そこのあなた!
スマホをいじりながら片手で食べているシュークリーム。
まさにそれは技術と英知の結晶なのですよ。
工場から袋に詰められて運ばれてきたと思えない、皮のパリッとした食感。
パティシエが炊き上げたような、とろ~りとろける濃厚なカスタード。
マダガスカルから運ばれてきたバニラの甘い香り。
これがいつでもどこでも手に入るなんて凄いことなのです。
お客様の「もっと美味しいものを」「出来立てのようなフレッシュさを」
「納得の価格で」そんな欲求に答えるべくコンビニスイーツやスーパーのデザートは日々進化しているのです。

「おいしさ」の4タイプ
技術の躍進をもとに「おいしさ」が進化している。
ではその「おいしさ」とは?
4つのタイプに分類してみましょう。
- 子供の頃おばあちゃんが作ってくれたおはぎのような親しみのあるおいしさ。
- 「人気ユーチューバーが絶賛!」「星付きレストランが作った」などの情報によるおいしさ。
- 砂糖や油といった脳の神経に直接快感を与える、やめられない止まらない〇っぱえびせん的「やみつき」のおいしさ。
- 運動部の学生が背油チャッチャ系のラーメンを好むように身体に必要な栄養素を美味しいと感じる「生理的なおいしさ」。
「おいしさ」づくりの迷走
ではおいしい商品を作ってほしいと言われた時どうするのか。
市場調査やアンケートで不満やニーズを吸いあげることもあれば
トレンドやターゲットから味のコンセプトを決めることもあります。
しかし味は好みがあるし、そもそも「おいしい」は千差万別の主観。
試作品をジャッジする人の好みによって「おいしい、おいしくない」と意見が分かれることも多分にあるのです。
私の経験から言えば、チーズケーキの酸味は好き嫌いがかなり影響します。
例えば「瀬戸内レモン」を使ったチーズケーキ。試作にレモンを大胆に使用した場合、年配の男性は酸味が強いと眉をしかめる傾向が強く、女性は柑橘のさわやかな酸味をしっかり感じたいという傾向が強い。おじさんVS若手女性社員で意見が割れてしまうのです。
ターゲットがどこであれ、おいしくないとOKがでないのだから一言「おいしくない」と言われてしまえば再考することになるのです。

「食感」で作る「おいしさ」のススメ
そこでおすすめの「おいしい」の作り方をご紹介しようと思います。
それは食感です。
古くからもちもちに炊き上げたお米が主食であった日本人は食感に敏感であり、
こだわりがあります。つまり食感においしさを感じるのです。
そしてそれが1つの食感ではなく、2つになった時、さらに「おいしい」と感じる傾向にあります。

例えばトースト。
厚めに切り、香ばしく焼き上げたトーストは最初にサクッとした歯ごたえ、
つづいてふわっとした柔らかな弾力。
その2つの食感がおいしさを押し上げています。
次にオムライス、昨今の人気は「ふわとろ」。
卵の空気を含んだふわっとした部分と、半熟のとろっとした部分がデミグラスソースとあいまって至福の食感とおいしさを生み出します。
そしてスイーツ。
ここ数年のブームは「もちもち食感」。
昨今のタピオカブームを見てもわかるように特に女性に人気の食感です。
もちもちしたシュー皮にとろ~りカスタード、あふれるカスタードを受け止めながら、もちもちした食感のシュー皮をかみしめる。
これは美味しくない訳がありません!
ちなみに今年、某コンビニでも、食感をうたったスイーツをシリーズ化しヒットになりました。
新食感をうたうことで話題性を生み、ファンを楽しませ、新しい美味しさを提供したのです。
つまり食感は誰が食べても「サクッ」であり、
「もちっ」であり、「とろ~り」。
皆が共感できる体験、それが食感であり「おいしさ」なのです。

いかがでしたでしょうか。
今回「おいしい」商品の作り方のひとつをご紹介しました。
今お考えのOEM商品をさらにブラッシュアップさせたい。
そんな風にお考えでしたら食感に個性ををつけてみるのもおすすめです。
「サクサク」「ほっくり」「とろーり」「もっちり」「ふわとろ」
きっと印象に残る、おいしい商品として更にお客様に喜んでいただけるはずですよ。